「岡村眼鏡製作所」
世界最古のプラスチックと呼ばれる「セルロイド」。象牙やべっ甲、サンゴなどに代る人工樹脂として開発されたこの素材はプラスチックでありながら使用することでいわゆる「アジ」と呼ばれる艶、光沢感の出る魅力的な素材です。現在では見かけることが少なくなったセルロイド素材。
セルロイドは眼鏡のフレーム以外にも様々な製品に使われ、1950年代頃までの映画ではセルロイドのフィルムが使用されていました。
タランティーノの映画「イングロリアス・バスターズ」でショシャナが映画の上映会にナチスの高官を集めて映画館ごと焼き殺すシーンでフィルムに火を放っていましたが、セルロイドは非常に燃えやすく危険なため、セルロイドの流通は20世紀半ば頃から減っていってしまいました。ちなみに日本では消防法により可燃性の規制対象物に指定され製造、貯蔵、取扱方法が厳しく定められています。
「扱いづらい、危険、めんどくさい」この言葉を聞いてしまったら素材として使用しないわけにはいきません。
ただ作れたとしてもすぐに壊れるようなモノを作ってもしょうがない。頻繁に使用するモノであれば尚更です。そこで今回製作を依頼したのが九十九里に工房を構え、一人の職人が全行程を作業する「岡村眼鏡製作所」です。劣化しやすく、耐久性に乏しいセルロイドを手間暇かけて強固なフレームに仕上げていきます。通常テンプル部分には金属芯を入れ(デザインとして入れる場合もあるようですが)形状変化を防ぐのですがここのフレームに入っていないことからも職人のプライドが伺えます。
熟練された職人の技術があって完成しました。末永く付き合うことが出来るこのアイウェア、ご賞味あれ。
SOC×岡村眼鏡製作所 - OE1